名前が似ているのでどちらも同じものだと認識している方が多いかもしれませんが、SoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gはまったく異なるサービスです。
特にPocket WiFiなどSoftBank系のモバイルWi-Fiルーターを利用するのであれば、両者の特徴と違いを理解しておく必要があります。なぜなら、契約内容によってはどちらか一方の回線しか使用できないからです。
SoftBank 4G LTEは全国の広範囲なエリアで整備されています。また2.1GHz帯や800MHz帯など比較的低周波数帯の電波を利用しているため、屋内や山間部などでも繋がりやすいといった特徴があります。
もう一方のSoftBank 4Gは、対応機種なら下り最大612Mbpsという超高速な通信速度を利用することが可能です。ただしサービスエリアはSoftBank 4G LTEほど広くはありません。また2.5GHz帯と3.5GHz帯の高周波数帯を利用しているので、屋内や山間部などでは電波が届きにくいというデメリットを抱えています。
それぞれの回線を使い分けられるなら何も問題はないのですが、契約内容によっては電波が繋がりやすいSoftBank 4G LTEを使えない可能性があるので要注意です。最悪の場合、圏外になってまったく使い物にならない恐れさえあります。
そこで今回は初心者向けにSoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gの違いを簡単に解説します。
SoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gの違い
SoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gの違いを理解するためには、まずLTEについて知る必要があります。
実は一口にLTEと言っても、複数のLTEが存在するのです。
LTEとは
LTEはLong Term Evolutionの略称で、日本語では第3.9世代移動通信システムと呼びます。Generationの頭文字を取って3.9Gと表されることも多いですね。現在モバイルWi-Fiルーターやスマートフォンなどで主流の通信規格です。
厳密には3.9Gに分類されるのですが、商業上はLTEを第4世代移動通信システム、つまり4Gと呼称することが許されています。
そのため実際は3.9Gの通信システムを採用しているにもかかわらず、auではau 4G LTE、SoftBankではSoftBank 4G LTEやSoftBank 4Gといった名称のサービスが展開されているのです。
ちなみにLTEが進化したLTE-Advancedという通信規格が存在しますが、これこそが真の4Gで現在は各携帯電話会社などで提供されています。
話を3.9GのLTEに戻しますが、これを細かく区別すると
FDD-LTEは低周波数帯を利用しているので電波が繋がりやすい
一般的にLTEと言えばFDD-LTEを指すことが多いです。
SoftBankおよびY!mobileでは700MHz~2.1GHzの比較的低周波数帯のFDD-LTEをSoftBank 4G LTEで利用しています。
低周波数帯の電波はコンクリートを透過しやすく、障害物を迂回しやすいので繋がりやすいのが特徴です。
SoftBank 4G LTEにおける最大通信速度は下り最大350Mbpsとなっており、後述するSoftBank 4Gよりも遅めとなっています。
TDD-LTEは高周波数帯を利用していて超高速な通信が可能
一方でTDD-LTEは2.5GHzと3.5GHzの高周波数帯を利用しています。
厳密にはSoftBankの2.5GHzは完全なTDD-LTEではなく、TDD-LTE互換のAXGPですが、基本的にSoftBank 4G=TDD-LTEと考えても大丈夫です。
そしてSoftBankではFDD-LTEの回線をSoftBank 4G LTE、TDD-LTE(あるいはTDD-LTE互換)の回線をSoftBank 4Gとして提供しています。
SoftBank 4GではCA(キャリアアグリゲーション)や4×4 MIMO(フォーバーフォーマイモ)、変調方式256QAMといった技術を組み合わせることにより下り最大612Mbpsの超高速な通信が可能です。
その代わりに高周波数帯の電波はコンクリートを透過しにくいですし、障害物にも弱いです。そもそもSoftBank 4G LTEと比較するとサービスエリアが狭いというデメリットもあります。
どちらも一長一短ですが、繋がりやすさを重視するのであれば高周波数帯よりも低周波数帯の電波のほうが有利です。
つまりSoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gを比較すると、前者のほうが屋内や山間部といったエリアに強く、電波が繋がりやすいと言えます。
Hybrid 4G LTE=SoftBank 4G LTE+SoftBank 4G
ちなみにSoftBankではSoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gを合わせてHybrid 4G LTEと呼称しています。
ただdocomoやauもFDD-LTEとTDD-LTEの両方を提供していますし、Hybrid 4G LTEを提供しているからといって特にメリットがあるわけではありません。
それに後述するように、Hybrid 4G LTEに対応している機種でも契約内容によってはSoftBank 4Gしか使えない場合があるので注意が必要です。
SoftBankが提供している4Gの周波数帯一覧
サービス名称 | 周波数帯 | Band(バンド) | 備考 |
---|---|---|---|
SoftBank 4G LTE | 2.1GHz | Band 1 | |
1.7GHz | Band 3 | ||
900MHz | Band 8 | プラチナバンド | |
1.5GHz | Band 11 | ||
700MHz | Band 28 | ||
SoftBank 4G | 2.5GHz | Band 41 | AXGP(TDD-LTE互換) |
3.5GHz | Band 42 | TDD-LTE |
2018年9月現在、SoftBankが提供しているLTEを含む4Gの周波数帯についてまとめました。
それぞれのサービスエリアについて知りたい方は、下記の記事にエリアマップのURLをまとめてありますので参照してください。
SoftBank 4G LTEはFDD-LTE×5バンド
SoftBank 4G LTEでは5つの周波数帯、つまり5バンドのFDD-LTE回線が提供されています。
日本のモバイルネットワークはFDD-LTEの2.1GHz帯(B1)が最初に整備され始めたということもあってSoftBankでもFDD-LTEの普及率が高く、広範囲のエリアで利用することが可能です。
またFDD-LTEは比較的低周波数帯の電波を利用していますが、特に900MHz帯(B8)は低周波で繋がりやすいため、俗にプラチナバンドと呼ばれています。
プラチナバンドは電波の繋がりやすさを重視するならもっとも重要な周波数帯です。
ちなみに、700MHz帯(B28)も低周波数帯なのでプラチナバンドと呼べなくもないのですが、まだ基地局の整備があまり進んでいません。
そのため現時点では、700MHz帯よりも900MHz帯の対応状況のほうが重要です。
SoftBank 4GはAXGP+TDD-LTEの2バンド
SoftBank 4GではAXGPと呼ばれるTDD-LTE互換の回線と、完全なTDD-LTE回線の2バンドが提供されています。
3.5GHz帯(B42)はまだ登場から日が浅いこともあって対応しているエリアが狭いですが、2.5GHz帯(B41)のAXGPはそれなりに広いです。
またバンド数は少ないですが、最大通信速度はSoftBank 4G LTEよりも高速です。
さて、SoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gはそれぞれ異なる特徴を持っているわけですが、実はSoftBankのサービスを契約しているユーザー全員が両方の電波を使えるとは限らないのです。
契約内容によってはSoftBank 4Gしか繋がらない
例えば本家SoftBankや、サブブランドのY!mobileでPocket WiFiを契約すると、基本的にはSoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gの両方で通信することが可能です。
ところがアドバンスオプションを申し込むとなると話が変わってきます。
アドバンスオプションとは
Pocket WiFiは基本的に7GBや1GBなどの容量制限があります。
容量制限とは、当月のデータ通信量が7GBを超過すると、月末まで通信速度が最大128kbpsに制限されてしまうといったタイプの通信制限、速度制限です。
この7GB制限を解除するのがアドバンスオプションで、Pocket WiFiシリーズの中でも一部の機種だけに提供されています。アドバンスオプションを利用すれば、速度制限を気にせず快適に通信することが可能です。
アドバンスオプションの利用料金は684円/月。通信モードをアドバンスモードに変更した月のみ料金が発生します。
速度制限がなくなることは確かにメリットですが、アドバンスモードはSoftBank 4Gしか使えないというデメリットもあるので注意が必要です。
アドバンスモード利用時はSoftBank 4Gしか使えない
アドバンスモードに変更すると7GB制限がなくなる代わりに、アドバンスモード利用時はSoftBank 4G LTEによる通信が不可能になります。
つまり、サービスエリアが狭い上に電波が繋がりにくいSoftBank 4Gしか使えなくなるのです。
サービスエリアが狭いと言っても、自分が使いたい場所でAXGPとTDD-LTEのどちらかが繋がれば基本的には問題ありません。
ただし高周波数の電波は鉄筋コンクリートを透過しにくいため、SoftBank 4Gのサービスエリア内でも快適に通信できるとは限らないのがネックです。
屋外だと普通に繋がっても、建物の中に入ると圏外になるということも十分あり得ます。
以上のような理由から、アドバンスオプションを利用することによって電波が繋がりにくくなったり、最悪圏外になってしまう可能性があるのです。
アドバンスオプションの利用を検討するなら、使用する可能性のあるエリアをSoftBank 4Gがカバーしているかどうかしっかりと調べることをおすすめします。
SoftBank 4G LTEしか使えないモバイルWi-Fiルーターもある
ちなみにSoftBank回線を利用しているモバイルWi-Fiルーターの中には、アドバンスオプションとは逆でSoftBank 4G LTEしか使えないものも存在します。
例えばNEXTmoibleで利用可能なモバイルネットワークはSoftBank 4G LTEと3Gの2種類のみです。SoftBank 4Gに対応している端末は提供されていません。
サービスエリア面においてはSoftBank 4G LTEさえ対応していれば十分ですが、その代わりに通信速度は下り最大112.5Mbps止まりとなってしまいます。キャリアアグリゲーションに対応している端末ならSoftBank 4G LTEでも最大350Mbpsで通信することが可能ですが、NEXTmobileの取り扱い端末はすべて非対応です。
普通の使い方なら10Mbpsほどでも十分快適に通信することが可能なので、SoftBank 4G LTEしか使えないことは致命的な弱点にはなりません。
しかしインターネットを長時間利用したり高画質な動画をストリーミングで再生するなど通信速度を重視する方にとっては、SoftBank 4G LTEよりもSoftBank 4Gを使えるかどうかのほうが重要でしょう。
SoftBank 4Gで下り最大612Mbpsの超高速な通信を利用したいのであれば、Y!mobileのPocket WiFi 603HWを、通信速度よりも電波の繋がりやすさを重視するのであればNEXTmoibleをおすすめします。
モバイルWi-Fiルーターで快適に通信したいなら
通信速度を重視したり、速度制限がなくなるアドバンスオプションを利用したいのであれば、本家のPocket WiFiを契約するのがおすすめです。
しかしアドバンスオプションを申し込むとSoftBank 4Gしか使えなくなってしまいます。通信速度よりも電波の繋がりやすさを重視したり、広範囲のエリアで使いたいという方にはNEXTmobileのようなSoftBank 4G LTEを使えるサービスをおすすめします。
ちなみに本家Pocket WiFiでアドバンスオプションを利用しないという選択肢はおすすめしません。
標準モードならSoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gの両方を使えますが、料金が高いわりに速度制限が厳しいのでコストパフォーマンスが悪いです。
まとめ
SoftBank 4G LTE | SoftBank 4G | |
---|---|---|
サービスエリア | 広い | 狭い |
電波の繋がりやすさ | 障害物に強い | 障害物に弱い |
通信速度 | 下り最大350Mbps/上り最大37.5Mbps | 下り最大612Mbps/上り最大13Mbps |
SoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gでは利用している周波数帯が大きく異なるのですが、このことがサービスエリアの広さや電波の繋がりやすさ、そして通信速度に影響を与えています。
両方の回線を使えるのであればまったく問題ないのですが、残念ながら契約内容によってはどちらか一方しか使えない可能性があります。
特にPocket WiFiのアドバンスモード利用時はSoftBank 4G LTEでは通信できなくなってしまうので、サービスエリアが狭くなる点に要注意です。
逆にNEXTmoibleのようにSoftBank 4G LTEしか提供されていない場合もあります。これなら電波の繋がりやすさに関しては安心ですが、通信速度の面では物足りないと感じるかもしれません。
どちらも一長一短ですが、SoftBank回線を利用しているモバイルWi-Fiルーターを契約する際は、SoftBank 4G LTEとSoftBank 4Gの違いに留意して検討しましょう。
コメント
質問させてください。
ソフトバンクに限らず一般的に
「LTE」=FDD-LTE
「4G」=TDD-LTE
ということなんでしょうか?