Googleが提供しているカーナビゲーションシステムのAndroid AutoはAndroid 5.0以降を搭載した端末で利用することが可能ですが、そのほとんどは有線接続でしか利用できません。
そもそもワイヤレスAndroid Autoに対応しているスマートフォンがPixelやGalaxyなどの一部機種に限られていた上に、特に日本においては屋外で5GHz帯を利用することが原則的に禁止されているため、Android Autoの無線接続はかなりハードルが高いのですが。
そんなレア機能だったワイヤレスAndroid Autoですが、Android 11からはメーカーを問わず全機種に開放、標準搭載されるようになりました。これによりPixelやGalaxy以外のスマートフォンのユーザーでもワイヤレスAndroid Autoを利用できる可能性があります。
一方で2.4GHz帯で利用することが不可能になってしまったため、日本国内で利用するのは相変わらずハードルが高いままとなりそうです。
Android 11を搭載している端末はワイヤレスAndroid Autoが利用可能
私がメインで使用しているGalaxy S20 5G SC-51Aは従来からワイヤレスAndroid Autoに対応していたのでなかなか確認が取れなかったのですが、Android 11にアップデートしたOPPO A73でもWi-Fi接続でAndroid Autoを利用できるようになりました。
有線接続だとUSBケーブルを繋ぐ手間がかかるのはもちろんのこと、データ通信用のUSBポートに繋ぐので低速充電を強いられるといったデメリットもあります。PixelやGalaxyに限らず、安価なミドルレンジやローエンドでも利用できるようになるのは嬉しいですね。
ただしAndroid 11を搭載した機種ならどれでも利用できるというわけでもありません。
5GHz帯のWi-Fiに対応していることが条件
以前からGoogleは、ワイヤレスAndroid Autoを快適に利用するために5GHz帯のWi-Fiで接続することを推奨していましたが、強制ではありませんでした。
そのため2.4GHz帯でホットスポットを設置できるカーナビやディスプレイオーディオであれば、日本国内でもワイヤレスAndroid Autoを合法的に利用できたのです。私はRaspberry PiとOpenAuto Proで自作した機器で利用しているので、市販品で対応機器が存在するのかは知りませんが…
ところがAndroid 11からは5GHz帯での接続が必須条件になり、2.4GHz帯での接続時はAndroid Autoが起動しなくなってしまいました。最初は起動しなくなった原因が分からなかったのですが、OpenAuto Proのフォーラムでも話題になっており、どうやらそういうことのようです。
最近は実勢2万円を切るような低価格機種でも5GHz帯に対応している機種が珍しくないですが、問題は端末ではなく、屋外で5GHz帯を利用することにあります。
屋外で5GHz帯を利用するためにはDFSが必須
日本でも屋外で5GHz帯を利用することは完全に禁止されているわけではありませんが、気象レーダーなどとの干渉を回避するためにDFSと呼ばれる機能が搭載されている必要があります。
DFSを有効化するとレーダーの探査に1分ほどの時間を要するので、そのぶんAndroid Autoの起動が遅くなるのもデメリットですが…それだけならまだしも、運転中にDFSが機能するとAndroid Autoが終了させられてしまう恐れさえあります。
Wi-Fi接続がなくてもオーディオ機能はBluetooth接続だけでも利用できますが、カーナビとしては致命的かもしれません。実際に長時間走行したり検証してみたわけではないので何とも言えませんが…
車は車でもバスの車内については例外的に5GHz帯の利用が認められていたりしますし、その他にも屋外で5GHz帯を利用できる特例は存在するので、一般の乗用車についても緩和してほしいところですね。
Android 10以前の対応端末は引き続き2.4GHzで利用可能
ちなみにAndroid 10以前のバージョンの対応端末については、引き続き2.4GHz帯でワイヤレスAndroid Autoを利用することが可能だそうです。
なので、どうしても2.4GHz帯で利用したい場合は最新のAndroid OSにアップデートされていない個体を調達してくるか、ダウングレードで対処するという方法も一応あります。
例えばGalaxyのSシリーズだと、S9がAndroid 10でOSアップデートを終えているので確実そうですね。docomo版のSC-02Kは2021年7月にセキュリティパッチが更新されていますし、まだまだ現役で使えるでしょう。
とはいえ、いつまでも古い端末を使っているわけにもいかないですし、Android 11以降の端末でも2.4GHzで利用可能になると嬉しいのですが…
と、ここまでが記事公開当初に書いた内容なのですが。
Android 11以降でも2.4GHzで接続可能…なこともある?
OpenAuto Pro 13から14.xをすっ飛ばして15にアップデートしてみると、なんとAndroid 11や12を搭載した端末でも2.4GHzでワイヤレスAndroid Autoができてしまいました。
ただし必ずしもスムーズにAndroid Autoが起動されるわけではなく、BluetoothとWi-Fiで接続しているにもかかわらず起動してくれないこともあります。あれこれ試してみましたが起動できる条件はまだ不確かで特定できていません。
Android 10でワイヤレスAndroid Autoを確立してから他の端末に繋ぎ変えてみたり、あらかじめBluetooth接続で音楽を再生した状態で手動で実行してみると起動しやすい気がしますが、その後再起動してみるとあっさり自動でワイヤレスAndroid Autoまで起動したりするので関係ないような気もします。。
まとめ
Android 11からはPixelやGalaxy以外のスマートフォンでもワイヤレスAndroid Autoが利用可能になりました。
しかし5GHz帯での接続が必須条件となり、2.4GHz帯で接続できなくなってしまった点に注意が必要です。OpenAuto Proのようなソフトウェアを利用して自作するにしてもDFSの実装が必要ですし、2.4GHz帯よりも本当に快適に利用できるのか怪しい気がします。
そもそも対応しているカーナビやディスプレイオーディオといった機器が市販されなければ一般層には普及しないでしょうけれども…
最悪、有線接続への移行を余技なくされることも覚悟しておくべきかもしれません。。
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