モバイルWi-Fiルーターはその名前の通りWi-Fiでパソコンなどと接続して使用するのが一般的ですが、Wi-Fi以外にも有線LANやUSBなどで接続することも可能です。
ただしバッテリー内蔵型のモバイルWi-Fiルーターで有線LANポートを搭載している機種は存在しません。
そのためモバイルWi-Fiルーターと有線LANで接続するためには、基本的にはその機種専用のクレードルが必要になります。クレードルがあればモバイルWi-Fiルーターを充電しつつ、LANケーブルで接続することが可能です。
ところがSoftBankやY!mobileが提供しているPocket WiFiは軒並みにクレードルに対応していないので、普通の使い方ではLANケーブルを接続できません。
しかしクレードルがないPocket WiFiでも、Wi-Fiを中継する機能を搭載した機器を併用すれば、有線LANを利用して接続することが可能です。
そこで今回はクレードルに非対応のモバイルWi-Fiルーターでも使える有線LAN化方法を紹介します。
Pocket WiFiとパソコンの接続方法
- Wi-Fi(2.4GHz/5GHz)
- USB(USB 2.0/USB 3.0)
- Bluetooth
- 有線LAN(イーサネット)
モバイルWi-Fiルーターとパソコンの接続方法は全部で4つあります。
Wi-FiとUSBについては基本的にどの機種でも利用可能です。そもそもWi-Fiに対応していなければモバイルWi-Fiルーターとは呼べませんし、どの機種もUSBポートが搭載されているので対応するUSBケーブルで接続すればUSBテザリングでインターネットに繋ぐこともできます。
ただしBluetoothについては全機種が対応しているわけではありません。WiMAX 2+向けに提供されている端末や、SIMフリーのモバイルWi-Fiルーターで一部の機種が対応していますが、SoftBankやY!mobileのPocket WiFiは非対応です。
また有線LANについては基本的に専用クレードルが必要です。SoftBank Airのようなホームルータータイプは例外として、バッテリー内蔵型で有線LANポートを搭載している機種は存在しません。少なくとも国内向けで正規に流通している端末ではないはずです。
ところがPocket WiFiではクレードルが提供されていません。そのため普通の使い方では有線LANで接続することが不可能です。
無線LANルーターなどで中継すれば有線LAN化することが可能
しかしクレードルに対応していないPocket WiFiでも、有線LANで接続する方法はあります。
Wi-Fi中継器と呼ばれる機器や、中継機能を搭載している無線LANルーターなどを使用して、Wi-FiやUSBを有線LANに変換すれば良いのです。
追加で機器を購入するのであれば、Pocket WiFiとパソコンを有線LANで接続する方法はいろいろあります。
Pocket WiFiとパソコンを有線LANで接続する方法
Pocket WiFiとパソコンを有線LANで接続したいのであれば、下記のいずれかの機器を購入すればOKです。
- Wi-Fi中継器
- イーサネットコンバーター
- 無線LANルーター
有線LANポートを搭載しているUSBハブが存在しますが、これをモバイルWi-Fiルーターに接続しても有線LANで接続することはできません。
基本的には中継器などでPocket WiFiから飛ばしたWi-Fiを受信して、それを有線LANに変換するという形になります。例外的にASUS製の一部の無線LANルーターはUSBで接続して有線LANに変換することも可能です。
それぞれの特徴について簡単にまとめておきます。
Wi-Fi中継器を使用する方法
まずはWi-Fi中継器、または無線LAN中継器と呼ばれる機器を使用する方法です。
この方法ではまず親機となるPocket WiFiと中継器をWi-Fiで接続します。
そしてWi-Fi中継器とパソコンの有線LANポートをLANケーブルで繋げば、Wi-Fi機能を搭載していないパソコンでもインターネットに繋ぐことが可能です。
3,000円以下で導入することが可能
Wi-Fi中継器は安価な製品なら3,000円以下で手に入れられます。またコンセントに直接挿して使えるコンパクトなモデルが多く、限られたスペースでも設置しやすいです。
有線LANへ変換するだけでなく、本来の使い方である中継器としても働くので、Wi-Fiの電波が届く範囲を広げられるのもメリット。
Amazonで売れ筋のTP-Link製中継器、RE200はコンセントに直挿しが可能で、実勢価格も3,000円を切っています。
対応している有線LAN規格に注意
ただしWi-Fi中継器にとって有線LANはおまけ的な機能なので、機種によっては有線LANポートが搭載されていなかったり、搭載されていても性能が低かったりします。
例えば先ほど紹介したRE200が対応している有線LAN規格は100BASE-TX、つまり通信速度が理論上100Mbpsまでしか出ません。
通信速度にこだわるのであれば、ギガビットに対応しているWi-Fi中継器を選びましょう。TP-Link製ならRE450が1000BASE-T規格に対応していて、1000Mbpsで通信することが可能です。
ただしその場合、LANケーブルもギガビットに対応している製品を使用しないと意味がないのでご注意を。具体的にはCAT5eやCAT6以上の規格がギガビットに対応しています。
イーサネットコンバーターを使用する方法
イーサネットコンバーターはパソコンの有線LANポートと接続することで、無線LAN子機として機能します。
普通にWi-Fiに対応させるだけならUSBタイプの無線LAN子機でも可能ですが、有線LANで接続するイーサネットコンバーターならWake-on-LANに対応させることが可能です。
なぜUSBタイプの無線LAN子機、Wi-Fi子機だとWake-on-LANが不可能なのかというと、パソコンの電源が入っていない状態ではUSBポートに通電されず、ネットワークから切断されてマジックパケットを受け取れないからです。
一応、無線LAN経由で行われるWake-on-Wireless-LAN、略してWoWという技術も存在します。しかし普通のパソコンはWoWに対応していませんし、対応させることはまず不可能です。
そのためWoLを行うためには、少なくともパソコン側は有線LANで接続する必要があります。
有線LANポートを無線LAN子機として使用するイーサネットコンバーターなら、モバイルWi-Fiルーター⇔イーサネットコンバーター間はWi-Fiで通信することになりますが、WoLを実行することが可能です。
もっとも、イーサネットコンバーターの代わりに先述のWi-Fi中継器を有線LANで接続した場合でも、マジックパケットを通過させられればWoLが可能になります。
WoLに対応しているイーサネットコンバーター
BUFFALO製のWLI-UTX-AG300/Cは、USBポートから給電することでイーサネットコンバーターとして動作します。
使い方自体は一般的な無線LAN子機と同じ。パソコンの有線LANポートに接続して、Pocket WiFiから飛ばしているWi-Fiに接続するだけです。パソコン以外にもテレビなどの有線LAN化にも役立ちます。
デスクトップパソコンなら十分な数のUSBポートが搭載されているはずなので、電源の取り方に困ることはないでしょう。2mの延長用USBケーブルも付属しています。
対応している有線LAN規格は100BASE-TXと貧弱ではありますが、Wi-Fi中継器よりもさらにコンパクトですしコンセント周辺の配線はすっきりするでしょう。
実勢価格は2,000円台前半といったところ。Wi-Fi中継器よりもさらに安価で導入することが可能です。
無線LANルーターを使用する方法
最近の無線LANルーターはWi-Fi中継器としての機能を搭載しているものも多くあります。
もし余っている無線LANルーターがあるのであれば、わざわざ専用のWi-Fi中継器やイーサネットコンバーターを購入しなくても、無線LANルーターを中継器モードに切り替えてPocket WiFiに接続すればOKです。
ちなみに私が使用しているASUS製の無線LANルーター、RT-AC1200HPもリピーターモードという名称ですが中継機能を搭載しています。
ASUS製無線LANルーターならWi-Fiを使用せずに有線LAN化することも可能
ここまで紹介してきた有線LAN化の方法は、すべてWi-Fiと有線LANを併用しています。
そのためWi-Fiに対応していないパソコンを有線LANでインターネットに接続するという目的は達せられますが、100%有線だけでPocket WiFiと繋げられるわけではありません。
しかしASUS製の無線LANルーターには、モバイルWi-FiルーターとUSBケーブルで接続することによりモバイルネットワークをWi-Fiや有線LANで共有するための機能が搭載されています。
これなら有線だけで接続するので、Wi-Fiが繋がりにくい環境でも安定してPocket WiFiと通信することが可能です。詳しいやり方については下記の記事を参照してください。
わざわざ無線LANルーターとUSBで接続するくらいなら最初からパソコンと直接USBケーブルで接続すれば良いのではないかと思われるかもしれませんが、直接USBケーブルで接続してしまうと複数の機器を有線LANで接続することができません。またPocket WiFiをパソコンの近くに設置しないといけないので、Wi-Fiを飛ばせる範囲が限定されてしまいます。パソコンの電源を切ると給電が行われなくなるので使い勝手も悪いです。
無線LANルーターを使用すれば2.4GHzと5GHzのWi-Fiを同時に使用することが可能になるというメリットもありますし、有線・無線を問わず使用する機器が多いのであれば無線LANルーターの併用をおすすめします。
ところで、無線LANルーターの亜種としてモバイルWi-Fiルーターの公衆無線LAN機能を利用する方法もあるので紹介しておきましょう。
公衆無線LAN機能を搭載したモバイルWi-FiルーターでもOK
一部のモバイルWi-Fiルーターに搭載されている公衆無線LAN機能も、Wi-Fiを中継する機能です。
モバイルWi-Fiルーターの場合は公衆無線LAN、いわゆるフリーWi-Fiを中継することを想定して搭載されているためこのような名称になっていますが、Wi-Fiを中継する機能であることには違いありません。
公衆無線LAN機能だけでなくクレードルにも対応している必要がありますが、これらの条件を満たしていれば解約済みであってもWi-Fiを有線LANに変換することが可能です。
docomoやWiMAX 2+のモバイルWi-Fiルーターは基本的にクレードルに対応していますし、SIMフリー端末ならAterm MR05LNなどがWi-Fiを中継する機能を搭載しています。
まとめ
SoftBankやY!mobileが提供しているPocket WiFiはクレードルに対応していないので、普通の使い方では有線LANで接続することができません。
しかしWi-Fi中継器や、同等の機能を搭載している無線LANルーターなどを使用すれば、Wi-Fiを有線LANに変換することは可能です。
またASUS製の無線LANルーターなら、3G/4G USBテザリング機能を利用することにより完全に有線化することもできます。
どうしてもPocket WiFiとパソコンを有線LANで接続したいのであれば、上記の方法を試してみてください。
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