モバイルWi-FiルーターでグローバルIPアドレスを使いたい方向けに、対応しているサービスをすべて調べてまとめました。
結論から述べると、SoftBankやY!mobileブランドのPocket WiFiは対応していませんが、docomoやau、WiMAX 2+などではグローバルIPアドレスが提供されています。
この記事は格安SIMと呼ばれるMVNOサービスについてもすべて網羅しているので、これを読めばグローバルIPアドレスが利用可能なモバイルWi-Fiルーターが一目瞭然ですよ。
さらに割り当てられるグローバルIPアドレスは動的なのか、それとも固定IPアドレスが利用可能なのかどうかも調べてあります。
モバイルWi-FiルーターでグローバルIPアドレスを使いたい、あるいは固定IPアドレスを使いたいという方は、ぜひこの記事を読んでください。
主要なモバイルWi-FiルーターのグローバルIPアドレス対応状況
グローバルIPアドレス | 固定IPアドレス | |
---|---|---|
docomo | 〇(5G契約は×) | × |
au UQ mobile |
〇 | × |
SoftBank Y!mobile |
× | × |
楽天モバイル | × | × |
WiMAX 2+ | 〇 | 〇 |
まず初めに、モバイルWi-Fiルーターを提供している主要な通信事業者についてグローバルIPアドレスの対応状況をまとめてみました。
大手携帯電話会社、いわゆる3大キャリアではdocomoとKDDIのauがグローバルIPアドレスを提供しています。SoftBankおよびサブブランドのY!mobileが提供しているPocket WiFiは非対応です。ホームルーターのSoftBank AirもグローバルIPアドレスではなく、プライベートIPアドレスが提供されています。
ただしdocomoでグローバルIPアドレスを利用するためにはISPとしてmoperaを契約する必要がありますが、5G契約ではmoperaを選択することができず、spモードしか利用できません。5G対応を謳っているahamoも恐らくグローバルIPアドレスは利用できないでしょう。一応5Gギガホや5Gギガホプレミアといった5G契約の場合は、4G契約のデータプラスを追加することで副回線でmoperaを利用することは可能です。
KDDIの子会社であるUQコミュニケーションズが提供しているWiMAX 2+の対応状況はプロバイダーによって異なりますが、基本的に対応していると考えて差し支えありません。またこの中では唯一固定IPアドレスが利用可能なサービスでもあります。
SoftBankおよびY!mobileのPocket WiFiはグローバルIPアドレスが提供されていません。また楽天モバイルも今のところグローバルIPアドレスは提供されていないので、今後も提供される可能性は望み薄でしょう。
その他にもMVNO、いわゆる格安SIMでもグローバルIPアドレスを提供している事業者はいくつかあります。
まずは大手携帯電話会社やWiAMX 2+でグローバルIPアドレスを使用するための方法や注意点から解説します。
docomo
spモード | mopera U | ||
---|---|---|---|
プラン | – | スタンダード | シンプル |
グローバルIPアドレス | × | 〇 | 〇 |
ISP料金(税込) | 330円/月 | 550円/月 | 220円/月 |
対象料金プラン | すべて対応 | 5G契約は非対応 | ギガホ系のプランはすべて非対応 |
メールアドレスの提供 | 〇 | 〇 | × |
docomoがデータ通信端末向けに提供しているISP、mopera Uのいずれかのプランを契約すると、グローバルIPアドレスを使用することが可能です。
5G契約ではmoperaを選択することが不可能で、スマートフォンやタブレット向けのspモードだとプライベートIPアドレスが割り当てられるので注意してください。容量無制限にこだわらないのであれば、副回線としてデータプラスを追加契約すればグローバルIPアドレスで最大30GBまで高速通信可能な回線が手に入ります。
moepra U スタンダードプランとmopera U シンプルプランはサービス内容や対象の料金プランが異なります。サービス内容の違いはメールアドレスの有無くらいなので料金が安いシンプルをおすすめしたいところですが、現行のギガホやギガライトといったプランには対応していません。そのためギガホ系のプランを契約している場合は基本的にスタンダードプランを選択するしかないでしょう。
なおギガホ系のプランでは、プラン料金にISP料金として330円が含まれているので、spモードを解約してmopera U スタンダードを契約する場合は+220円で済みます。
例えばデータプラスならプラン料金は1,100円/月なので、mopera U スタンダードに変更すると合計1,320円/月です。主回線が5Gギガホなら30GBまで高速通信可能なので、かなりコスパの良いデータ回線が手に入りますよ。
なお、いずれのプランも割り当てられるグローバルIPアドレスは動的で、固定IPアドレスのサービスはありません。
au
KDDIがauブランドのデータ通信端末や他社端末向けに提供しているISP、LTE NET for DATAを契約するとグローバルIPアドレスが割り当てられます。普通のLTE NETだとやはりプライベートIPアドレスが割り当てられるので注意しましょう。
ただし、グローバルIPアドレスで接続するとWiMAX 2+ フラット for DATA EXなどギガ放題系のプランに加入していても、月間のデータ通信量が7GBを超過すると速度制限の対象になる恐れがあるので要注意です。現行のモバイルルータープランやホームルータープランでも同様にAPN設定を変更すると速度制限が行われる可能性があるという曖昧な注意書きが掲載されています。
ルーターに初期設定されているAPNを変更されますと、速度制限(月間7GB超)の対象となる場合があります。なお、ハイスピードプラスエリアモードの「WiMAX 2+」「4G LTE」の当月利用の通信量合計が7GBを超えた場合、ハイスピードモードの「WiMAX 2+」通信を含め、当月中は「WiMAX 2+」「4G LTE」通信の通信速度が送受信最大128kbpsとなります。
公表はされていませんが、私の実体験やTwitterのフォロワーさんからの情報によると、W05やL01sといったnanoSIM端末のみが7GBを超過すると速度制限が行われるようです。今のところ旧規格のmicroSIM端末では通信速度が制限されたという報告がありません。
なお5Gに対応しているデータ通信端末向けのプラン、ルーターフラットプラン80(5G)ならグローバルIPアドレスが使えて80GBまで高速通信が可能ですが、各種割引適用前の月額料金は7,678円/月もかかります。
スマートバリューも含めたすべての割引を適用すれば48か月間限定で3,278円/月になりますが、別途高額な5Gルーターも購入しないといけないのでちょっとおすすめしにくいです。
SoftBank/Y!mobile
SoftBankや同社のY!mobileブランドで提供されているPocket WiFiはプライベートIPアドレスのみ提供されています。
現在グローバルIPアドレスや固定IPアドレスを利用するためのオプションサービスはありません。
またSoftBank Airについても同様で、プライベートIPアドレスのみ利用可能です。ホームルーターでグローバルIPアドレスを使いたいならWiMAX 2+のL02などをおすすめします。
ちなみにZTE製のPocket WiFi 303ZT/304ZT/305ZT/601ZTなら後述するマイIPを利用することで、固定のグローバルIPアドレスを使用することが可能です。その他の機種でもポート開放すればマイIPを利用することは可能かもしれません。

WiMAX 2+
WiMAX 2+はUQコミュニケーションズをはじめとする複数のプロバイダーから提供されていますが、そのほとんどがグローバルIPアドレスを使用することが可能です。
ASAHIネット WiMAX2+は唯一標準でグローバルIPアドレスを提供しています。また追加料金を支払うことで固定IPアドレスを割り当ててもらうことも可能です。いずれもWiMAX 2+のプロバイダーとしてはASAHIネットだけの特徴です。
他のプロバイダーでも13社ほどがグローバルIPアドレスオプションを提供しています。これは105円/月ほどの有料オプションですが、わずかな追加料金でグローバルIPアドレスを使えるようになります。
グローバルIPアドレスオプションについては下記の記事で詳しく解説しています。

プランの料金はプロバイダーによって異なりますが、例えば本家UQコミュニケーションズだと2年契約のギガ放題4,268円/月です。つまりグローバルIPアドレスオプションを利用するなら4,373円/月ということになります。
速度制限を気にせず大量に通信したいのであれば、グローバルIPアドレスオプションに対応しているプロバイダーのWiMAX 2+がおすすめです。
グローバルIPアドレスを提供している格安SIM
グローバルIP利用時の料金目安 | ルーターのセット販売 | 標準で割り当てられるIPアドレス | 備考 | |
---|---|---|---|---|
ASAHIネット LTE ANSIM | 1,870円/月~ | × | 動的グローバルIP | 追加料金880円/月を支払うことで固定のグローバルIPを利用可能。 |
イオンモバイル | 528円/月~ | 〇 | 動的グローバルIP | グローバルIPが割り当てられるのはタイプ2のみ。 |
イプシム | 1,089円/月~ | × | 動的プライベートIP | 追加料金550円/月を支払うことで固定のグローバルIPを利用可能。 |
インターリンクLTE SIM | 1,100円/月~ | × | 固定グローバルIP | |
OCNモバイルONE | 968円/月~ | 〇 | 動的グローバルIP |
MVNOサービス、いわゆる格安SIMは基本的にプライベートIPアドレスが提供されていますが、表に記載した5つのMVNOに関してはグローバルIPアドレスを使用することが可能です。
ASAHIネット LTE ANSIM
ASAHIネット LTE ANSIMは標準でグローバルIPアドレスが提供されています。
有料の固定IPアドレスオプションに加入することで、固定IPアドレスを使用することも可能です。
端末のセット販売はなく、SIMカードのみの提供となります。そのため別途SIMフリーのモバイルWi-Fiルーターを購入しないといけません。これについては後ほどおすすめ機種を紹介します。
イオンモバイル タイプ2
イオンモバイルはグローバルIPアドレスを使える格安SIMとしては最安のMVNOです。
その最安のデータ1GBプランは528円/月。次点のOCNモバイルONEと比較してもほぼ半額です。とにかくコストを抑えてグローバルIPアドレスを使いたいという方に向いています。
なおタイプ1とタイプ2の2種類が提供されていますが、タイプ2のみグローバルIPアドレスを使用することが可能です。
またイオンモバイルの提供端末のラインナップにはモバイルWi-Fiルーターが含まれていますが、記事公開時点ではWEBサイトから購入することができません。そのためこちらも別途購入する必要があります。
イプシム
イプシムは比較的新しい格安SIMサービスです。
標準ではプライベートIPアドレスが割り当てられますが、オプションに加入すると固定のグローバルIPアドレスが割り当てられるようになります。
端末のセット販売は行われていないので、イプシムも端末は別途用意しないといけません。
インターリンクLTE SIM
インターリンクLTE SIMは唯一標準で固定のグローバルIPアドレスが割り当てられます。
24時間速度制限解除クーポンという珍しいオプションサービスが提供されているので、突発的に大量通信する必要に迫られても安心です。
端末のセット販売はありません。
OCNモバイルONE
OCNモバイルONEは標準でグローバルIPアドレスを提供しています。固定IPアドレスのサービスはありません。
セット販売されている端末のラインナップは比較的豊富です。
おすすめのSIMフリーのモバイルWi-Fiルーター
格安SIMを契約する場合、基本的に端末は自分で用意しないといけません。しかし、どの端末を購入すれば良いのか分らないという方は少なくないでしょう。
そこでおすすめのモバイルWi-Fiルーターを2機種紹介します。
上記の格安SIMはいずれもdocomo回線のMVNOサービスなので、市販のSIMフリーのモバイルWi-Fiルーターなら基本的にどの機種でも大丈夫です。docomo回線に対応していないSIMフリー端末なんてほぼ100%存在しません。
そんなSIMフリーのモバイルWi-Fiルーターの中でも特におすすめなのがNECプラットフォームズ製のAterm MR05LNです。LTE-Advancedに対応していて、高速で安定した通信が可能です。
コストを重視するのであれば廉価版のAterm MP01LNも良いでしょう。いずれもAmazonで購入することが可能です。
ちなみにMR05LNは格安SIMのパッケージとセットで販売されていることもありますが、回線契約は任意なのでパッケージを手に入れても他の格安SIMと契約しても問題ありませんよ。
プライベートIPでもグローバルIPが利用可能になるサービス
プライベートIPアドレスが割り当てられるモバイルWi-Fiルーターでも、外部の有料サービスを利用することで固定のグローバルIPアドレスを使用する方法が存在します。
現在契約中、あるいは契約したいモバイルWi-FiルーターがグローバルIPアドレスでなくても、1,000円/月程度の追加料金でグローバルIPアドレス化することが可能です。
インターリンクのマイIP・マイIP ソフトイーサ版
マイIP | マイIP ソフトイーサ版 | |
---|---|---|
月額料金 | 1,100円/月 | 1,320円/月 |
無料期間 | 最大2か月間無料 |
格安SIMの項目でも紹介したインターリンクが提供しているマイIPというサービスを申し込むと、VPNを利用して固定のグローバルIPアドレスを使用することが可能になります。
マイIPはVPN接続を利用するため、VPNパススルー機能を搭載しているモバイルWi-Fiルーターが必要です。
ただし主要なモバイルWi-FiルーターすべてがVPNに対応しているわけではなく、最近発売された機種でもせいぜい半分くらいといったところなので、慎重に機種を選ぶ必要があります。
SoftBank AirのAirターミナルはVPNのクライアントとして機能するかどうか明記されておらず、私は当初VPNをパススルーできないものだと思い込んでいました。しかし逆にVPNの利用に制限はかけられていないようなので、恐らくマイIPを利用すればSoftBank AirでもグローバルIPアドレスを使用することが可能です。
ただホームルーターでマイIPを使いたいのであれば、対応しているプロトコルまで明記されているWiMAX 2+のホームルーターをおすすめします。そもそも両者を比較するとSoftBank Airのほうが良いところなんてほぼありませんし。
マイIPの使い方についてはこちらの記事を参考にしてください。

まとめ
Pocket WiFi以外の主要なモバイルWi-Fiルーターは概ねグローバルIPアドレスを使用することが可能です。
docomoのスマートフォンを契約しているならdocomoのモバイルWi-Fiルーターを追加で契約するのも良いですが、速度制限を気にせずに通信したいのであればWiMAX 2+が向いています。
しかしWiMAX 2+はサービスエリアや電波の繋がりやすさで劣るので、速度制限よりも繋がりやすさを重視するのであればdocomo、あるいは格安SIMを契約してSIMフリーのモバイルWi-Fiルーターを購入するのがおすすめです。
グローバルIPアドレスを使えるモバイルWi-Fiルーターは選択肢がそこそこ豊富なので、自分の使い方や重視するポイントに合わせて選びましょう。
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