Pocket WiFi 603HWなど、Y!mobileから提供されている一部の非音声端末は「ワイモバイルからのお知らせ(SMS)」を受信、確認することが可能です。
スマートフォンやタブレットと同様に、非音声端末で使用されているSIMカードにも電話番号が割り振られていますし、実際にSMSの送受信に対応しているモバイルWi-Fiルーターも存在します。
それではY!mobile以外から送信されたSMSを受信することも可能なのかと言えば、それは不可能です。
非音声端末に搭載されているメッセージ機能は、原則としてY!mobileから送信されるSMSの受信のみに対応しています。家族や友人から送信されたSMSや、LINEの認証のために送信されるSMSを受信するといった使い方には利用できません。
Pocket WiFi 603HWはSMSの受信が可能?
Y!mobileの公式サイトを調べてみると、Pocket WiFi 603HWなど一部のモバイルWi-Fiルーター製品がSMSの受信に対応しているといった記載があります。
そのせいか個人サイトなどでも一部のPocket WiFiがSMSの受信に対応していると紹介されていることがありますが、これはほぼほぼ誤りです。
Pocket WiFiはワイモバイルからのお知らせのみ受信が可能
Y!mobileのPocket WiFiに搭載されているメッセージ機能は、「ワイモバイルからのお知らせ(SMS)」の受信のみ対応しています。
普通のスマートフォンやタブレット、フィーチャーフォンなどから送信されたSMSを受信したり通知を受け取ることはできません。
当然、LINEアプリなどで認証のために送信されるSMSを受信することも不可能です。
実際にdocomoやFUJIWifiと契約しているSIMカードを設定して確かめてみましたが、603HWがSMSを受信することはありませんでした。
念のためにY!mobileに問い合わせて確認しましたが、Pocket WiFiは一般のSMSを受信することは不可能だという回答をいただいたので、現行機種ではどうやってもSMSの受信はできないようです。
SMSの受信が可能なモバイルWi-Fiルータも存在する
それではまともにSMSを受信することが可能なモバイルWi-Fiルーターは存在しないのかと言えば、そんなことはありません。
むしろ昔、旧EMOBILEの頃はPocket WiFiシリーズでもSMSの受信に対応している機種が存在しました。
しかし現行機種でSMSを受信、確認することが可能なモバイルWi-Fiルーターはほぼ存在しません。
そもそもモバイルWi-Fiルーターの電話番号を利用してSMSを受信することが可能だと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
モバイルWi-FiルーターでSMSを受信するメリット
スマートフォンなどの携帯電話ではなく、モバイルWi-FiルーターでSMSを受信することが可能だと下記のようなメリットがあります。
LINEアプリなどでサブアカウントを作れる
単純にLINEアプリの認証を行いたいだけならスマートフォンの電話番号を利用すれば済む話ですが、もしサブアカウントを作るとなると別の電話番号が必要になります。
例えばSIMスロットが搭載されていないWi-Fi専用タブレットならSMSの受信が不可能ですし、一部のASUS製のスマートフォンなどは、LINEやSNS系のアプリを2個インストールすることが可能なので1台で複数のアカウントを同時利用することが可能です。
このようにLINEなどのサブアカウントを作成したい場合、モバイルWi-Fiルーターの電話番号でSMSを受信できれば、新たにSIMカードを契約しなくともSMS認証をクリアすることが可能になります。
海外でプリペイドSIMなどの認証に利用する
海外だとSIMロックやローミング、または対応バンドの都合などから、スマートフォンではSMSを受信できない可能性があります。
特に現地でプリペイドSIMを購入する場合、SIMロックを解除しておくことは必須条件です。
もしスマートフォンのSIMロックを解除できていなかった場合、仮にSIMフリーのモバイルWi-Fiルーターを持っていたとしても、SMS認証をクリアできないためにプリペイドSIMを開通することができない…なんてことになりかねません。
しかし、スマートフォンのSIMロックを解除できなかったとしても、SIMフリーでSMSの受信が可能なモバイルWi-Fiルーターがあれば、これを通してSMSの内容を確認することが可能です。
ちなみにSMSの受信に対応している数少ないモバイルWi-Fiルーターは、いずれも対応バンドが豊富なので海外利用にも適しています。
それでは具体的にどのモバイルWi-FiルーターがSMSの受信に対応しているのか紹介しましょう。
SMSの受信が可能なモバイルWi-Fiルーター
旧EMOBILE時代の頃に発売された機種はSMSの受信に対応している機種がそこそこありましたが、現行機種ではほとんどありません。
そこでLTEに対応していて今でも実用性が高そうな3機種だけまとめておきました。
ZMI Battery Wi-Fi MF855
対応ネットワークと周波数帯 | FDD-LTE | 2.1GHz(B1) 1.7GHz(B3) 2.6GHz(B7) |
---|---|---|
TDD-LTE | 1.9GHz(B39) 2.3GHz(B40) 2.5GHz(B41) |
|
W-CDMA | 2.1GHz(B1) 1.8GHz(B2) 850MHz(B5) 900MHz(B8) |
|
TD-SCDMA | 2GHz(B34) 1.8GHz(B39) |
|
GSM | 850MHz 900MHz 1800MHz 1900MHz |
|
通信速度 | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | |
接続方法と同時接続数 | Wi-Fi(2.4GHz):8台 USB:1台 |
|
サイズ (幅×高さ×厚さ) |
75 × 102.2 × 22.3mm | |
重量 | 235g | |
SIMスロット | Micro SIM | |
バッテリー容量 | 7,800mAh(内蔵式) | |
連続待受時間 | 最大1560時間 | |
連続通信時間 | 最大18.5時間 | |
その他 | モバイルバッテリーとして使用可能 |
Y!mobileから提供されている製品としては、ZMIのBattery Wi-Fi MF855がSMSの受信に対応しています。TDD-LTEに加えてTD-SCDMAもサポートしていて中国圏に強いです。
ただしBattery Wi-Fiも既に過去の製品となっており、現在Y!mobileから購入することはできません。
Amazonなどでも新品を購入することが可能ですが、その場合はSIMカードを別途契約する必要があります。
Huawei Mobile WiFi E5577
対応ネットワークと周波数帯 | FDD-LTE | 2.1GHz(B1) 1.7GHz(B3) 850MHz(B5) 2.6GHz(B7) 900MHz(B8) 800MHz(B19/20) |
---|---|---|
3G | 2.1GHz(B1) 800MHz(B6/19) |
|
GSM | 850MHz 900MHz 1800MHz 1900MHz |
|
通信速度 | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | |
接続方法と同時接続数 | Wi-Fi(2.4GHz/5GHz):10台 USB:1台 |
|
サイズ (幅×高さ×厚さ) |
96.8 × 58 × 17.3mm | |
重量 | 112g | |
SIMスロット | 標準SIM | |
バッテリー容量 | 3,000mAh(着脱式) | |
連続待受時間 | 最大600時間 | |
連続通信時間 | 最大12時間 | |
その他 | microSDカードスロット搭載(最大32GB) |
HuaweiがSIMフリー端末として提供しているMobile WiFi E5577は管理画面やアプリからSMSの送受信が可能です。
docomoとSoftBankのプラチナバンドに対応しているので、どちらの回線でもそれなりに繋がります。
Huaweiも中国メーカーですし中国圏に強いですが、ヨーロッパの国々とも親和性が高そうです。
NETGEAR AirCard AC785
対応ネットワークと周波数帯 | FDD-LTE | 2.1GHz(B1) 1.7GHz(B3) 850MHz(B5) 800MHz(B6) 1.7GHz(B9) 800MHz(B19) 1.5GHz(B21) |
---|---|---|
3G | 2.1GHz(B1) 850MHz(B5) 800MHz(B6/19) 1.7GHz(B9) |
|
GSM | 850MHz 900MHz 1800MHz 1900MHz |
|
通信速度 | 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps | |
接続方法と同時接続数 | Wi-Fi(2.4GHz/5GHz):15台 USB:1台 |
|
サイズ (幅×高さ×厚さ) |
– | |
重量 | – | |
SIMスロット | Micro SIM | |
バッテリー容量 | 2,000mAh(着脱式) | |
連続待受時間 | 最大300時間 | |
連続通信時間 | 最大10時間 | |
その他 | Wi-Fiは2.4GHzと5GHzを同時利用することが可能 |
世界93か国で繋がると謳っているNETGEARのSIMフリーモバイルWi-Fiルーター、AirCard AC785は管理画面からSMSを確認することが可能になっています。
国内ではdocomoのクアッドバンドLTEに対応していて、docomo回線向きのモバイルWi-Fiルーターです。
何気にWi-Fiが2.4GHzと5GHzの同時利用に対応している希少なモバイルWi-Fiルーターだったりします。現時点ではこの機種が唯一ではないでしょうか。
ただしDFS機能は搭載されておらず、日本国内においては屋外で5GHzを利用すると違法行為となるので注意してください。
まとめ
603HWなど一部のPocket WiFiはSMSを受信することが可能だとされていますが、これはY!mobileが送信するメッセージを受け取るための機能です。
普通の携帯電話から送信されたSMSを受信することは不可能なので、LINEなどアプリの認証には使えません。
Pocket WiFiシリーズ以外だと現行機種でもSMS機能をサポートしているモバイルWi-Fiルーターがいくつか存在するので、どうしてもSMSを利用したいならこれらのSIMフリー端末を購入することをおすすめします。
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