モバイルWi-Fiルーターを使用していてスマートフォンは問題なく通信できているのに、PCだけ通信速度が遅くて困っているという方はいませんか?
Wi-Fiの通信速度が遅くなってしまう原因はいろいろありますが、AndroidやiPhoneといった他の端末は高速で通信できているのにPCだけ問題があるのであれば、原因は高確率でPCにあります。
特に古いPCだとWi-Fi機能の性能が低いために通信速度が遅くなってしまっている可能性が高いでしょう。
そんなPCでもWi-Fiの通信速度を簡単に改善できる方法を3つ紹介します。
USB接続のWi-Fi子機を使用する
1番簡単で手っ取り早いのはUSB接続のWi-Fi子機、無線LAN子機を増設する方法です。
PCに内蔵されているWi-Fi機能が低いのであれば、これを高性能なものに取り換えれば良いのです。
大概のPCはUSBポートを搭載しているので、子機を増設することで簡単にWi-Fiの受信性能をアップさせることが可能です。
おすすめのWi-Fi子機、無線LAN子機
Wi-Fiの子機を購入するなら、対応している規格に注意して選びましょう。
せっかく増設しても、性能が低ければWi-Fiの通信速度は改善しません。
おすすめはIEEE802.11acまで対応している製品です。11acに対応している製品は5GHzのWi-Fiで通信することが可能で、他の家電が発する電波と干渉しにくく、快適な通信が期待できます。
1,000円以下の安価な製品は11acや11aといった5GHzのWi-Fiにはまず対応していません。そういった製品は11bや11gといった2.4GHzのWi-Fiで通信することになりますが、これらの電波は干渉しやすいですし、規格上の最大通信速度も11acに大きく劣ります。
11acで通信するためには親機となるモバイルWi-Fiルーターも11acに対応している必要がありますが、逆に親機が対応しているのであれば子機も11acに対応している製品を絶対に選択すべきです。
具体的に11acに対応している子機をいくつか紹介しておきます。
BUFFALO WI-U2-433DMS
対応規格 | 11ac/11n/11a/11g/11b準拠 |
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最大通信速度 | 11ac:433Mbps 11n:150Mbps 11a:54Mbps 11g:54Mbps 11b:11Mbps |
なるべく小型で邪魔にならないものが欲しいのであればBUFFALOのWI-U2-433DMSがおすすめです。実勢価格は2,000円程度。
小型で安価な製品は軒並み5GHzに非対応だったりしますが、これはしっかりと11acまで対応しています。11ac接続時の最大通信速度は433Mbpsです。
もし親機が対応していないなど5GHzが利用できない環境だったとしても、11nの150Mbpsに対応しているので、11g/11bしか対応していないようなPCならWi-Fiは十分高速化するでしょう。
ELECOM WDC-433DU2HBK
対応規格 | 11ac/11n/11a/11g/11b準拠 |
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最大通信速度 | 11ac:433Mbps 11n:150Mbps 11a:54Mbps 11g:54Mbps 11b:11Mbps |
ELECOMのWDC-433DU2HBKは筆者も所有しているWi-Fi子機です。実勢価格は2,000円台。
対応規格や最大通信速度こそWI-U2-433DMSと同じですが、見た目から分かるようにアンテナが大きいので実効速度はこちらのほうが期待できるでしょう。
PCを持ち運ぶことがなく、スペースや取り回しを気にする必要がないのであればこちらをおすすめします。
NETGEAR A6210-100JPS
対応規格 | 11ac/11n/11a/11g/11b準拠 |
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最大通信速度 | 11ac:867Mbps 11n:300Mbps 11a:54Mbps 11g:54Mbps 11b:11Mbps |
通信速度にこだわるのであれば3年保証もついているNETGEARのA6210-100JPSがおすすめです。実勢価格は4,000円程度。
11ac接続時なら最大867Mbps、2.4GHzでも最大300Mbpsの高速で通信することが可能です。
ただしUSB 2.0で接続すると通信速度が480Mbpsで頭打ちになってしまうので、最大通信速度を実現するためにはUSB 3.0に対応しているポートに接続する必要があります。
本当はもっと高性能な製品が存在しますが、親機となるモバイルWi-Fiルーターが最高でもこの程度の性能しか備えていないので、A6210-100JPSより高性能な子機を導入してもあまり意味がありません。
そういうわけでモバイルWi-Fiルーター環境においてはこれが最高クラスの選択肢となります。
Wi-Fi以外の方法で接続する
モバイルWi-FiルーターとPCの接続方法はWi-Fiだけではありません。
iPhoneのようなモバイル機器なら基本的にWi-Fiで接続するしかありませんが、PCならWi-Fi以外にも有線LANやUSBといった選択肢があります。
クレードルを使用して有線LANで接続する
モバイルWi-Fiルーターでクレードルが提供されている機種なら、これを使用することで有線LAN接続が可能です。
肝心のノートPCが有線LANに対応していなくても大丈夫。LANポートを搭載しているUSBハブやイーサネットアダプタを購入すれば、どんなPCでも有線LANに対応させられます。
ただWi-Fiの性能が低いPCだと、有線LANの性能も低い可能性が高いです。最近のPCは1Gbps、ギガビットに対応しているのが当たり前ですが、古い機種だと100Mbpsまでしか対応していないというケースが考えられます。
最大100Mbpsでも基本的に十分だとは思いますが、もしPC本体のLANポートを使用して通信速度が遅いと感じるのであれば、ギガビットに対応しているLANポートを増設すれば改善するかもしれません。
USBケーブルで接続する
イーサネット、LANケーブルで接続するためにはクレードルが必須なので、機種によっては有線LANで接続することは不可能だったりします。
しかしUSBならどのモバイルWi-Fiルーターでもまず間違いなく搭載されているので、クレードル非対応の機種でもUSBケーブルで接続することが可能です。
ほぼすべての機種で使えるUSB接続ですが、一部の機種はUSBテザリングに非対応でこの方法が使えないケースが稀にあるので注意してください。
USB 3.0で接続するための注意点
またUSB 3.0(USB 3.1 Gen1、USB 3.2 Gen1)で高速通信を行うためには、USB 3.0に対応しているケーブルが必要です。USB 2.0のケーブルで接続すると、端末がUSB 3.0に対応していても480Mbps止まりになってしまいます。
モバイルWi-FiルーターがUSB 3.0に対応していても付属のケーブルはUSB 2.0であることがほとんどなので、USB 3.0で通信したいなら対応するケーブルを購入しましょう。
あとコネクタの形状にも注意してください。USB 3.0に対応してるモバイルWi-Fiルーターは軒並みUSB Type-Cを採用していますが、USB 3.0とType-Cはイコールではありません。
またノートPCだとUSB Type-Cしか対応していない製品も少なからず存在するので、その場合は両端のコネクタがType-Cのケーブルが必要です。
モバイルWi-Fiルーターの設定を見直す
PC以外の端末が正常に通信できているならPCに原因がある可能性が高いですが、モバイルWi-Fiルーターの設定を変更することで改善する可能性も0ではありません。
そこで通信速度の改善に繋がるかもしれない見直しポイントを紹介します。
Wi-Fiの周波数帯を切り替える
Wi-Fiで利用する周波数帯は大きく分けて2.4GHzと5GHzの2種類があります。
初期状態のモバイルWi-Fiルーターは2.4GHzで通信するように設定されているはずですが、既に述べたように2.4GHzは他の電波と干渉する可能性が高いです。
一方で5GHzは家電が発する電波と干渉することはないので、電波の干渉が原因で通信速度が遅くなっているのだとしたら5GHzに切り替えることで通信が安定するでしょう。
また規格上の最大通信速度も5GHzのほうが高速なので、干渉していなくても通信速度が高速化する可能性が十分あります。
ただしすべての機器が5GHzに対応しているわけではないですし、こちらは物理的な障害物に弱いというデメリットもあるので、必ずしも高速化するとは限りません。実際に試してみて、より快適に通信できるほうを選ぶと良いでしょう。
もし2.4GHzと5GHzの両方を同時に使用したいのであれば、無線LANルーターを増設することをおすすめします。これなら使用する機器や場所に応じてそれぞれが最適な周波数帯を選択して通信することが可能です。
周波数帯が同じでもチャンネルを切り替えれば改善する場合も
PCが5GHzに対応していないなどの理由で2.4GHzで通信せざるを得ない場合、チャンネルを切り替えることでも通信速度が改善する可能性はあります。
Wi-Fiは周波数帯という大きな括りだと2種類に分類されますが、これらの周波数帯を細かく分けるとチャンネルという単位で分割することができます。
もし2.4GHzで通信して電波が干渉したとしても、空いているチャンネルで通信するように設定を変更すれば干渉を回避することが可能です。
現在地のチャンネルの使用状況を確認する方法については、下記のようなスマートフォン向けのアプリが便利です。
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ただし近隣で大量のWi-Fiが飛んでいたりすると、どのチャンネルも混雑しているなんてことも考えられます。
また機種によっては通信するチャンネルを固定できず、自動切り換えに頼らざるを得ないこともあります。
そのような場合は、USBで子機を増設して5GHzに対応させるなど、他の対策を行いましょう。
PMF(管理フレーム保護)機能をOFFにする
他に通信速度が低下している原因が思い当たらない場合、PMF機能をOFFにすることで改善するかもしれません。
PMFとはWi-Fiのセキュリティを高めてくれる機能ですが、これが悪さをして通信に支障をきたす場合があります。
まさに今回のテーマのように、正常に通信できている端末もあるのに一部の端末だけ正常に通信できないという現象が発生したら、PMFを疑ってみてください。
PCだけ通信速度が遅いのにPCに問題がないとすれば、PMFが原因かもしれません。
まとめ
スマートフォンなど他の端末は問題なく通信できているのに、PCだけWi-Fiの通信速度が遅いのであればその原因はPCにある可能性が高いです。
PCのWi-Fi性能が低いことが原因であれば、USBでWi-Fiの子機、無線LAN子機を増設しましょう。数千円の投資でWi-Fiの性能を大幅に強化することが可能です。
一般的にはWi-Fiよりも有線LANのほうが安定かつ高速で通信できるとされていますが、Wi-Fiの性能が低いということは有線LANの性能も低い可能性が高いので、そのようなPCは特にWi-Fiの子機を増設することをおすすめします。
お金をかけず無料で改善したいなら、USBケーブルで接続するのが手っ取り早くて簡単です。ただしギガビット級の高速通信を行いたいならUSB 3.0に対応しているUSBケーブルを購入する必要があります。
もしPCの性能や周波数、チャンネルなどの設定に一切問題がないのに正常に通信できないのであれば、PMFを無効化すると改善するかもしれません。
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