ラズパイは個人でIoTシステムを作るのに適したデバイスですが、肝心のインターネットに繋ぐためには回線契約が必要です。
固定回線を引いている場所に設置するなら普通にこれを利用すれば済む話ですが、そうでない場所で使用するなら別途USBモデムやモバイルWi-Fiルーターなどを導入しないといけません。
しかしWiMAX 2+やPocket WiFiといった一般的なモバイルWi-Fiルーターの月額料金は4,000円から5,000円程度かかります。IoT専用で使用するにはコスパが悪過ぎますね。
もちろん用途次第ではありますが、ラズパイで使用するならそんなに高品質な回線である必要はありません。MVNO、いわゆる格安SIMを適当なUSBモデムやモバイルWi-Fiルーターに刺せば十分です。
ところがIoT/M2M向けの格安SIMは法人専用で提供されていることが多く、個人が契約するのは難しかったりします。
そこで個人契約が可能でラズパイにおすすめな格安SIMを3つ紹介します。
ロケットモバイル
とにかく安くインターネットに繋ぎたいなら月額327.8円から利用可能なロケットモバイルが断トツでおすすめです。
神プランなら月額327.8円で低速通信が使い放題
IoT特化型の格安SIMを謳っているロケットモバイルは、最安プランである神プランが月額327.8円で利用することが可能です。
たったの月額327.8円ですが、全国でdocomoの3G/4Gを利用することが可能なので繋がりやすさはまったく問題ありません。
その代わりに通信速度は上下ともに最大200kbpsと遅く、いかにもIoT向けな仕様となっています。
しかしラズパイで記録したテキストベースのデータをアップロードするくらいなら200kbpsでも余裕です。頻度が高くなければカメラモジュールで撮影した画像もいけます。
ラズパイで通信速度を要求しない使い方をするなら最適な格安SIMです。
ロケモバポイントを貯めれば通信費を無料にすることも可能
ロケットモバイルでは対象のアプリをダウンロードしたり会員登録、アンケート回答などを行うことでロケモバポイントを貯めることができます。
このロケモバポイントは1ポイント=1円として毎月の通信料金に充当することが可能です。
充当金額に上限などはないので、例えば神プランなら毎月328ポイント以上貯めて充当すれば通信料金は0円、つまり無料になります。
初期費用として事務手数料が3,740円かかりますが、維持費をとにかく抑えたいならロケットモバイルでロケモバポイントを貯めましょう。
DTI SIM
あまり知られていないかもしれませんが、DTIはかなり初期の頃から格安SIMを提供している老舗です。最近こそあまり注目を集めていませんが、DTI SIMはいろいろと特徴的で面白いプランを投入しています。
特に格安SIMを初めて利用する方におすすめなのが、半年間の維持費がほぼ無料になる半年お試しプランです。
データ半年お試しプラン3GBなら半年間の維持費はほぼ無料
データ半年お試しプラン3GBは、DTI SIMを初めて契約する場合のみ選択可能なプランです。
通常の3GBのデータプランは月額料金が924円かかりますが、データ半年お試しプランなら最初の半年間は無料になります。
厳密にはユニバーサルサービス料を負担する必要があるので毎月2円ないし3円程度の請求は発生しますが、まあ無料みたいなものでしょう。
その他に初期費用が事務手数料として3,300円、docomo SIM発行手数料として433.4円がかかりますが、これだけの費用で半年間は毎月3GBまで高速通信が可能なのですからかなりお得です。
ロケットモバイルのようにわざわざポイントを貯める必要はありませんし、不要になったらお試し期間内に解約してしまっても構いません。
お試し期間終了後の維持費は月額660円から
もちろんお試しプランを利用してみて気に入ったならそのまま継続利用すればOKです。何もしなければそのまま普通の3GBプランとして使い続けられます。
もしくは高速データ容量が異なる他のプランに変更することも可能です。3GBだと月額料金は840円かかりますが、例えば最安の1GBなら660円に抑えられます。
逆に大量に高速通信を行いたいなら、月額2,420円で毎日1.4GBまで高速通信が可能なんてプランも選択することが可能です。毎日最大限に通信するとしたら月間で40GB以上使える計算になります。
格安SIMを試しに利用してみたいのであれば、DTI SIMの半年お試しプランがおすすめです。
インターリンクLTE SIM
インターリンクLTE SIMもIoT向けな格安SIMです。
ラズパイで固定IPアドレスを使いたいならロケットモバイルよりもインターリンクLTE SIMを契約しましょう。
月額1,100円から固定IPアドレスが使用可能
格安SIMに限らず、一般的にモバイルデータ通信サービスではプライベートIPアドレスが払い出されます。そのためWANからラズパイにアクセスしたいのであれば大多数の格安SIMは不向きです。
しかしインターリンクLTE SIMならどのプランでも標準で固定のグローバルIPアドレスが割り当てられるので、簡単にリモートアクセスすることが可能になります。
固定IPアドレスではない格安SIMでもSoftEther等のソフトウェア、外部サービスを駆使すれば同等の環境は作れますが、インターリンクLTE SIMであればそんな煩わしいことをする必要はありません。
ただし外部のネットワークから簡単にアクセスできるということは、第三者が不正にアクセスすることも容易になるというリスクがあるので、セキュリティには気を付けましょう。
最安プランなら月額1,100円で固定IPアドレスが使えます。
データのアップロードに最適な上りのみ高速通信可能なプラン
インターリンクLTE SIMでは上りの通信、つまりアップロードのみ高速通信が可能なプランも提供されています。10GBと30GBの2択だけですが、通常のプランと比べるとかなり割安です。
テキストベースのデータなら基本的に最安プランの128kbpsでも問題ないと思われますが、例えばカメラモジュールを接続して異常を検知したら静止画や動画を撮影して送信したり、リアルタイムで映像を配信するといった使い方だと上りで大容量の通信が発生します。
ファイルサイズが大きいデータを扱うなら、上り高速プランを検討してみると良いでしょう。
550円でデータ通信が使い放題になる24時間制限解除クーポン
インターリンクLTE SIMでは24時間データ通信が使い放題になる、24時間制限解除クーポンが提供されています。
このクーポンは30GBプランと上り高速プランでは利用できませんが、それ以外のプランでは1回500円の追加料金を支払うことで、各種速度制限が解除された状態で通信することが可能です。
以前はOCNモバイルONEが終日高速通信が可能になるオプションを限定的に提供していましたが、現在このようなオプションを提供しているのはインターリンクLTE SIMだけなので、固定IPアドレスが不要でもこのオプションに価値を見出せるならインターリンクLTE SIMを契約しても良いかもしれません。
基本的には固定IPアドレスを使いたい人向けの格安SIMです。
まとめ
IoT/M2M向けを謳っている法人向けの格安SIMを個人が契約することは難しいですが、個人向けでもIoT向けの格安SIMはいくつか提供されています。
軽いデータをアップロードするだけならロケットモバイルの神プランでも十分。月額料金は327.8円ですが、ロケモバポイントを貯めれば0円に抑えることも可能です。
神プランの低速仕様が不安なら、DTI SIMを半年間無料でお試しで利用してみましょう。半年以内に解約すればほぼ初期費用しかかかりませんし、格安SIMデビューにもおすすめです。
リモートでラズパイにアクセスしたいなら固定IPアドレスが付与されるインターリンクLTE SIMが便利です。
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